「カオル君の元カノって、あなただよね?」


そう言って、葉子先輩はあたしを見た。


視線を逸らせてしまいそうになり、グッと我慢をした。


あたしは悪い事なんてしていない。


カオルを奪ったのは葉子先輩の方だ。


「そうです。でもあたしは、カオルに振られたんです」


葉子先輩の顔を真っ直ぐに見てそう言うと、葉子先輩の瞳が微かに揺れた。


動揺しているのだろう。


「……変なこと言ってごめんね」


葉子先輩はそう言うと、ベンチから立ち上がって帰って行ってしまったのだった。