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警察でカメラの画像を確認してもらっても、犯人は特定できなかった。


深く帽子を被り、カメラに顔が写らないようにして鉄パイプでカメラを破壊していたのだ。


男のようにも、女のようにも見える。


重たい気持ちのまま夕食のテーブルにつくと、お父さんがあたしを睨み付けて来た。


その視線に威圧感を覚えて、あたしはうつむく。


食卓を重たい空気が包み込んでいた。


「終ったんじゃなかったのか」


そう聞かれ、あたしは返事ができなかった。


そんなのあたしが聞きたいよ。


「あの男が犯人なのか」


「わからない」


あたしは小さな声で返事をした。