ストーカー

看板に隠れていたし、あたしたちに気が付いて逃げて行ったのだから。


『とにかく、明日からはまた俺が送り迎えしてやるから』


「そんなのダメだよ。璃桜はちゃんと練習しなきゃ!」


『ちょっとくらい大丈夫だって。それに、練習漬けじゃ俺も精神的にキツイ』


そう言ってくれると、少し安心した。


あたしと一緒にいることで、璃桜が気分転換できるのならそれもいいかもしれない。


「じゃあ、甘えるけど、練習したいときはあたしのことは気にしなくていいからね?」


自分から相談しておいてこういうことを言うのも変かもしれないと思いながら、あたしは言った。


璃桜にはなんでも相談したいし、でも邪魔はしたくない。


そんな矛盾した気持ちだ。


『わかった。とにかく、今日のことはちゃんと両親に伝えろよ?』


「うん。わかってる」


あたしはそう言って電話を切ったのだった。