山本『城田くぅ〜ん、何ずっと机と睨めっこしちゃってんの?笑』

城田 『、、、、。』

山本 『っあ、そりゃそっか。笑』

また始まった、このどうにも言えない空気が私は嫌いなんだ。城田君が机に向き合ってるのも無理はない。だって、城田君の机には夥しいほどに落書きしてある教科書が乱雑に散らばっているのだから。

山本 『城田くぅん、どうしちゃったのー?このぐらいのイタズラ本気にしちゃダメだよぉー??笑』

エスカレートしていくクラスに私は見ることしかできず、自分は関係ないと割り切っていた。
だが、それが恐怖の始まりだった。


高校入学してから1ヶ月たった5月。もう夏なんじゃないかと思うぐらいに太陽が照りつけて体が火照る。
高校生になったら、きっと楽しい学校生活が待ってると期待していた私にはこのクラスは苦痛でしかなかった。
入学初日からとても目立つ、山本さんグループ。授業にしても休憩にしても、つんざくような笑い声に叫び声。周りの人なんかお構いなしの強い口調。
そんな高校生活に期待しかしてなかった私に起きたのは、入学して4日目に山本さん達に
山本 『ごめん、昼弁で座る椅子足りないからもらってもいい?』
と、友達もろくに出来ていない私に話しかけてきて、私は嫌悪感を見せないよう席を譲ったが、その日から自分の席で弁当が食べられず、掃除箱を背もたれにして地べたで食べる毎日。
山本さん達の圧が強くて、会話もまともにできないクラスメイトばかりだ。

山本 『もうさ、入学してJKエンジョイって気分だったのに、うちらのクラスまじでエの字の欠片もなくて笑うんだけど。爆笑』

久山 『いや、まじ山ちゃんの言う通りすぎて笑 』

アッヒャヒャッヒャッヒャ!


どうしたらこんな下品な笑い方出来るのだろう。
私の中で不満が溜まっていく毎日だった。
山本さんはこのクラスのトップ。久山はその山本さんの気分取りみたいな人
この時点で私のクラスは今後不安でしかないのに、山本さんが目をつけた男子の城田君は、もはや財布扱い。毎日のようにジュースや売店のパンを頼まれ、買わされている城田くん。
この酷い光景が毎日続くと思うと、嫌で仕方なくなった。

山本 『ねぇ!城田くぅーん!私喉乾いたから買ってきてくれない?城田くんまじ優男だもんね!』

久山 『山ちゃん、それ絶対思ってないし、遠回しに金出せって言ってるじゃーん!笑笑 もう最高すぎぃ!』

山本 『だってさぁー、城田くんお金あるでしょー?ウチらのためにバイトしてくれてんだよね?まじで逆らったりしちゃったら生徒指導行きだからぁー、アルバイトって♡爆笑』

城田 『皆に、聞こえるから、、、やめてよ。、買ってくるから、、、、。』

久山 『城田くん優男!!ほんと素敵!!まじで惚れちゃいそう!!そんなわけないけどー爆笑』

アッヒャヒャッヒャッヒャ!!ウケる!!

誰も口出しできない。うちのクラスにも、山本さん達に向かって口出しをした伊原さんがいたけど、口出しをしたことで、伊原さんは何故かその日から学校に来なくなってしまったのだ。
それもあり、みんな逆らいも口出しもできない状況
そんな日々が繰り返される中、いよいよ城田君に対してのいじめがひどくなった。

山本 『城田くぅん~。面白いストーリー乗っけたいからさ、全裸で廊下走ってよ!!』

久山 『それ最高のストーリーじゃん!!城田くん協力してよ!!』

城田 『え、そんなこと出来るわけ、、、無理だってほんとに……』

山本 『は?おいおい、私のお願いも聞き入れないわけ?え?お前まじふざけんなよ笑』

久山 『あーあ、城田くん。山ちゃん激おこ分丸だぞぉ~。どうすんのぉ?やらかしたねぇ~。』

城田 『っえ、だって,,,,,ごめん。』

山本 『反省してるなら、裸で走るか、窓ガラス飛び降りるかどっち?笑笑』

久山 『まぁ、当然走るしかないよね爆笑』

すると、城田くんは窓にむかって足をかけたのだ。

山本 『え?まってまって?ネタでしょ?普通走るでしょ!?』

城田 『なんで、毎日毎日お前達の奴隷みたいな事しないといけないんだ!!』
今までに見たことも無い城田くんの怒鳴り声,,,,,
その声でクラスが凍りついた
城田『このさい飛び降りてお前達を絶対呪ってやる。覚えとけよ。絶対に,,,,,』

『キャアーー!!』『うわぁー!!』『おい、まじか』

ほんとに城田くんは飛び降りてしまったのだ。
降りた時の『ッゴツ』という音も聴こえた。
そこにいたクラスの皆が叫び声を上げた。