「おかえりなさいませ。」

コンシェルジュの東野さんに、にこやかに「帰りました。」と返し。

リビングまで、逃げられないように手をきつく繋いだまま

家路を急いだ。

「もう、放して!」

何度か彼女は口にしていたけれど、それに答える事はない。

ソファーに座り、膝に抱き上げ………逃げられないように囲う。

「………………ホントに…………放して。
逃げないから……………。」

先ほどとは違う『放して』だ。

たぶんこういったスキンシップに、慣れてないせいだ。