「ガキっぽいの飲んでるね」
中学3年生のくせにいっちょ前にそうはいて、コーヒーを一口飲む菅原。
彼のコーヒーと自分のメロンソーダに目を向けて、少し置いていかれた気がしてシュンとしてしまう。
「うるさいなあ……」
勉強だってそう。
なんだって、周りから常に置いていかれてる。
自分はそういう人間なんだ。
塾に通ったはいいけれど、周りの子たちはグングン点数をあげていくのに、私は少し伸びただけで最近は同じところを行ったり来たり。
『また上がった!』
そんな声を、塾で聞くのも、判定の結果が出るのも嫌になって。
そんな私に比べて、菅原はすごく勉強ができる方だ。
学校は違うけど、塾で初めて菅原見て、気付けば気になる存在になっていた。
塾の教室では、私の席から少し離れた斜め前に座る彼。
他の男の子と比べて、大人っぽい彼の容姿や話し方は、もちろん私だけじゃない他の女の子たちを惚れ惚れさせている。



