でも、いったらすごかった。 3年生がバンドを組んで歌っていて。 その歌声が、ギターが、ベースが、ドラムが、全部が上手で。 気づいたら俺は口ずさんでいた。 知っている曲、どこか懐かしい曲。 でもそれがなんなのか思い出せなかった。 隣をみると舞も口ずさんでいて。 ―――そして泣いていた。 「舞?」 「ごめんごめん、なんでもない。なんかうますぎて心に響いちゃって」 そういって涙を拭った。