鼻水をすする音、ハンカチを手にする人が目に入って。 舞のほうをちらっとみると舞も泣いていた。 音をたてることもなく、ハンカチを手にするわけでもなく、でも溢れんばかりの涙が舞の目から零れ落ちていた。 ただその目は瞬きすることなく真剣なまなざしだった。 自分と重ね合わせてみているかのような、俺にはそんな風にみえた。 俺はそのあとも舞から目が離せなくて、最後のほうは映画の内容すら頭に入ってこなかった。