まさかこの若さでガンになるなんて。
発症が分かった時、お父さんとお母さんは
人目もはばからず泣いた。
あの頑固で屈強なお父さんまでもが泣いた。
一人娘がガンになったなんて、
親としては耐えられなかったんだろうな。
すぐに入院の準備がされ、私はもう半年もこの病院にいる。
えっ?短いって?
私にとっては長いんだよ。
毎日が退屈で仕方がない。
友達と遊べないし、
大好きなお菓子作りもできない。もう最悪。
私がガンだと知らされてまず思ったのが、
私はもうすぐで死んでしまうってこと。
聞かされた時は絶望した。
なんで私がって思ったりもした。
でも今はもう、死を受け入れている。
どうせ死ぬなら若いうちに死にたい。
華の女子高生でちやほやされているうちに死んでしまいたい。
そう思ったらこの病気もラッキーなものに思えてきた。
だから私が泣いたのは最初の一週間だけ。
それからはもうあっけらかんとしている。
それを見て、また両親が泣いた。
私はどれだけ親不孝者なんだろうか。
病院は嫌い。
消毒の匂いと、陰気な患者のオーラが
そこかしこに充満しているから。
特に私のいる病棟では毎日のように人が死んでいく。
それを廊下から眺めていると、
自分も今すぐ飛び降りて死にたくなるけれど、
それが出来ないように窓は開かないし屋上へも上がれない。