「まぁ!鶇様!いい考えだわ!私は構わなくてよ。どうせ勝つのですもの。そして、皆さんの前で、本当に鷹人に相応しいのが誰かを知らしめることが出来るんですからね」

おのれ、ハリウッド女優ぅぅぅぅーーー!!

「ちょっと……まっ」

「じゃあ、三番勝負でどうだろうか?」

御姉様はさらっと私の言葉を聞き流した。

「三番勝負?」

大原さんも、私を無視して話に乗っかる。
今、私の頭上では文化祭目玉興業の詳細が片方の当事者抜きで話合われている。
どういうことよ、これ!

「有利、不利があったら困るからな。お互いに馴染みのあるものにしよう。そうだな、算術とピアノと剣道でどうだ?」

算術……ピアノ……剣道………?
一体どういう取り合わせ?

「ふふっ、鶇様もお人が悪いわ。こんなもの私が勝つに決まってますのに!!」

凄い自信。
勝つ気満々ですね……。
黙る私を見て、大原さんはニヤリと笑った。
そして御姉様も不敵に笑い、私を覗き込んで問いかける。

「すずな嬢も、この3つはやったことあるだろう?大丈夫だよな?」

「……あの、算術って何するんですか?」

断言しよう!
算数・数学は全く自信ないっ!

「簡単な計算だが?そろばんを使っての計算だ……まぁ、別にそろばんは使わなくてもいいよ。与えられた時間の中で何問正確に解けるかの勝負だ」

「計算………」

「どうだ?大丈夫か?」

御姉様の問いかけに私は頷いた。
簡単な計算なら……たぶん……いけるかも?
大丈夫という訳ではないし、見世物にされるのももちろんごめんだ。
だけど。

「私が勝てば、すっぱりきっぱり鷹人のことを諦めて婚約破棄して頂きますからね!よろしくて?」

あまりよろしくはないですよ。
よろしくはないですけど!

「では、私が勝てば……大原さんは提督さんを追いかけるのを止めるんですね?」

ああ、売り言葉に買い言葉って正にこのことよね……。