私は恥ずかしさに打ち震え、部分的に熱くなった人差し指と、微笑む提督さんの顔を交互に見た。
素敵な笑顔ですけどね、とんでもないことやってますよ、あなた。
まぁ気を取り直して、目の前のカップケーキを食べますけどね!
私は提督さんの前に置かれたカップケーキを見た。
それは、さっき食べたものとは違う種類もので、チョコ生地にチョコクリームで、とても美味しそうだ。

「提督さん、本当にいらないんですか?」

とりあえず、最終確認を。

「ああ、どうぞ召し上がれ」

ありがとうございます。
最終確認もとれたところで、私はまたまたカプッとかぶり付いた。
今度は、指にクリームを付けないように充分注意したよ!!
食われちゃたまんないからね!

「ああ、幸せです。美味しいです。最高ですね」

「そんなにか!?」

「はい!私、甘いもの大好きなので!あ、でも、前は沢山食べられなくて……」

あ、と私は口をつぐんだ。
セリの時のことを、島にいた時のことを話せる訳がない!
余計なことを喋ってしまったと、提督さんを見た。
その様子は、前に見たまま優雅な様子で、何一つ変わらない。
良かった……変に思われてはないらしい。
ほっと胸を撫で下ろし、私は少し早くなった鼓動を抑えるためにお茶を啜った。

「そんなに好きならまた買ってやるよ。《ラ・ロッシ》のカップケーキだな?」

へぇ?
そんな名前だったの?良く覚えていなかった。
もう、目の前の甘味に夢中でね!
でも、提督さん、甘いもの苦手なクセによく商品だけで店名まで…………。
あれ?

「提督さん、何か隠してません?」

「は?何をだ?」

目が泳いだよ!?
見逃さないんだからっ!!