少尉さんに送ってもらい、私は部屋に帰ってきてソファーにぐでーんと寝転んだ。
もちろん、提督さんがいるときはそんなことしません!!
ちゃんといないことを確認してやっていますよ、はい。

「ふぇー………疲れたー!良く働いたー!誰かー褒めてーー」

と、誰もいない部屋で叫んでみる。
するとベッドの方から、小さく押し殺したような声が!
誰か………いる?!
ガバッとソファーから起き上がり、ゆっくりゆっくり音を立てずに出口に向かって後退する。
ドア付近にある靴べらをとりあえずの武器にして、もう一度ベッドの方を伺ってみた。
さっきは気づかなかったけど、こんもりとシーツが膨らんでいる。
あの大きさならおそらく一人分。
提督さんかなぁ?
それにしては帰るのが早いんだけど。
でも、鍵を開けられるのは提督さんしかいない。
マイクロチップで認証されてるのは、私と提督さんだけだから。
怖いけど、確認しないともっと怖いな。
私は、忍び足でベッドに近付いた。
シーツの中の誰か(何か)は、尚も押し殺したような声を出し、小刻みに震えているみたいだ。
小刻みに震えるって……何?
シーツの端を持ち、私はそーっとそれを引く。
すると…………。
こちらに背を向け、丸くなって肩を震わせる提督さんが押し殺したような声で笑っていた!!
……………………………。

「何やってるんですか?」

私はつい冷たい声で尋ねてしまった。
だって、おかしいでしょーー?!
ベッドに隠れて笑ってるなんて、一体どういうつもりなんだか!
その声にビックリしたのか、提督さんはガバッと起きてベッドに正座した。

「どうしてそんなところに?」

ツーンとすまして言ってやったら、目を泳がせて挙動不審になる。

「提督さん?」

「あ、あ、うん。仕事が早く終わってな……君を驚かそうと隠れてたんだが……うん、その、あの……」

「はい、それで?」

しどろもどろの提督さんは、大きな体をきゅっと縮めている。

「ベッドの中でな、機会を伺ってたら、君の……その、な?とても可愛い声が、な?聞こえてだ……な……」

「とても可愛い声??」

はて?
私、そんな可愛いこと言ってませんけど??
……………もしかして??

『ふぇー………疲れたー!良く働いたー!誰かー褒めてーー』

これじゃないだろうな!!
まさか、こんな疲れたOLみたいな叫び、可愛いなんて言わないよね。