「いいの?ガッツリ行くよ?ほんとに?後悔しない?」

「しないしない、どーぞ!セ……すずなお嬢……様?」

あ、という顔をして訂正したけど、今危なかったよ!
提督さんにバレたら……は?何?どうして怒ってるんですか!?
えっと、顔が般若のようですよ!
怒る要素、どこかにありました!?
私がその様子に怯えていると、提督さんの手がバニラアイスのコーンを掴んだ。

「フレディ、彼女がお腹を壊すといけない。それはオレが食おう」

「は?」

「え?」

フレディも私も唖然とした。
一口や二口くらいで壊すような軟弱な腹はしていないっ!!
私の腹をナメないでもらいたい!
とは言えなかった。
提督さんの目は全然笑ってなかったから。

「いや、なんで鷹人が食べるんですか?お嬢様だって一舐めするくらいでお腹を壊したりしません。医者がいうのだから間違いありませんよ?」

フレディも何故か譲らない。
もうめんどくさいことになる予感しかない!
ていうか、これ一体何で揉めてるの?
どっちかが大人になって折れてよ!
という私の願いはむなしく、両サイドでは激しい火花がバチバチと散っている。

「えっと、お二人とも何をそんなにピリピリしてるんですか?」

「してない」

「してませんよ」

どの口が言うか!

「してますよ?怖いです……」

そう、アイスごときでドン引きです。
私の言葉に、提督さんとフレディはハッとし、お互い顔を見合わせた。
そして、何も言わずに頷き合うと無言で座ってアイスを食べ始めた。
違う意味で怖いわ!!

結局、私の両隣で大の男が、無言でアイスを食べるというシュールな光景を晒してその事件は幕を閉じたのだ。
そう、原因はわからず、全ては謎のまま……。
ああっ!!
バニラ、味見したかったなぁ!!