「危ないな。ダメだぞ、後ろからおもいきりぶつかっていったら」

はるか上の方から低い声が響いてくる。
この声………提督さんっ??

「ごめんなさい!」

「ご、めんなさ……いっ……」

「………ごめん……」

子供達の声が後ろから聞こえてきた。
どうやら、さっきのタックルの件で提督さんに怒られているみたい。
でもあれは……。

「提督さん、あの、ありがとうございます」

「大丈夫か??」

「はい。あの、あまり叱らないで?今のはきっと、帰ろうとしたから引き留められただけっていうか……ね」

と、私が振り返って言うと、子供達は顔をくしゃっとさせてわんわん泣き始めてしまった。

「おっと、大合唱だな!」

御姉様は、ははっと笑って3人の頭をポンポンと叩いた。

「帰らないでほしかったんだよな?」

と御姉様が尋ねると、子供達は更に声を大きくして泣き出す。
あらら、それは嬉しいけど、泣かれるのはちょっとなぁ。
ふむ、こんな時は……。
私は緑の折り紙を3枚取り出し、ササッと手早くそれを完成させ、子供達に一つずつ手渡した。
手の中にある物を見て、3人は目を大きく見開き泣くのを止めた。
ふふっ!大成功!

「これ、知ってるっ!図鑑で見たよ!」

と、りょうくん。

「うんうん!えーと、なんだっけ?」

と、ひろとくん。

「カエルよ!カエル!」

サキちゃんが大きな声で言うと、皆の「カエル」コールが始まった……。
これはこれでうるさいな……。
しかし!そんなことで喜んでもらっては困るのだよ!!

「ふふふふふ、皆?このカエルさんたちはなんと飛ぶのです!」

「えーーーーーっ!!」

おー、いい反応!!

「皆、カエルさんを下に置いてー?いい?そして、おしりを人差し指で押さえてー………離すっ!」

ぴょーん。
たった1センチほどだったけど、その効果は絶大だ。

「うぉーーーー!!」

泣いてた子供はもう好奇心の塊だった。
こうなったらもう、私がいなくても大丈夫だろう。

「さ、提督さん、今のうちに!!」

「あ、ああ」

「御姉様、あ、理事長先生、さようなら」

「おう、ありがとな。お疲れ、また明日!」

と、片手を上げ御姉様は格好良く手を振った。
そして、カエルで遊ぶ子供達を確認し、私は提督さんと学園を後にした。