「すごいね、サキちゃん。もう完璧だね!」

「ううん、まだまだ……。ね、お姉さん、サキには何くれるの?」

「ふふっ。じゃあ今から折るね!あ、一緒にやってみようか?」

「うんっ!やるっ!」

サキちゃんは素敵な笑顔で言った。
私はピンクを、サキちゃんは赤を、それぞれとってゆっくりと折り込んでいく。
サキちゃんは何回もやり直しながら、だんだんと形になっていく折り紙に興奮している。

「うん、そこは中に折り込んでね。うん、そうそう……よしっ!」

「わぁ!!出来たぁ!すごーい!これ、お花ね?桜かなぁ」

サキちゃんの目がキラキラ輝いている。

「うん。桜。他にも色んなお花出来るからね、花束とかにしても綺麗だよね!」

と私が言うと、キラキラ笑顔は更に煌めいた。

「花束!?サキ、それお父さんにあげたい!!明後日会えるからその時に渡したいな」

「いいわね!明後日なら、明日頑張れば大丈夫よ!一緒に作ろうか?」

「うんっ!!」

大きく返事をすると、サキちゃんはすぐに折り紙を取り出しさっきの手順を忘れないようにまた作り始めた。
サキ!恐ろしい子!
この子きっと賢いわ!
将来は御姉様のように、独身バリバリのキャリアウーマンになるに違いない!
はっ!……ごめんなさいっ!!
勝手に独身って言ってすみません!
なんてふざけたことを思っていると、

「ごくろうさん」

と、後ろから肩をポンと叩かれ、私は気を失いかけた。
だって……御姉様だったもの。
心の声が漏れたのかと思ったわ。

「あー…………どーも、お疲れ様でーす」

「どうした?疲れたのか?若いくせに」

そう見えたのは違う理由で、ですよ。
御姉様はさっきと同じラフな格好のまま、あぐらをかいて私の横に座り込んだ。

「やるじゃないか?このワルガキどもを手懐けるなんて。特にサキは厄介だと思ったんだがな」

「そうですか?サキちゃん、普通でしたけど……」

「……サキは人をよく見てるから、そうか、サキがなつくのなら……なるほどな」

なるほどって何でしょうか?
やっぱり御姉様も提督さんと同じで、自己完結型なの?!
私、理解不能なんですけども?

「そうそう、君は今日はもう上がっていいぞ。お迎えが来てる」

早いな、少尉さん。
まだ5時前なのに。

「いいんですか?定時までまだ……」

「ふっ、いいよ。君が早く行かないとあいつがイライラして困るんだ」

と、御姉様は含み笑いをした。
あいつ?少尉さんのこと?
少尉さんがどうしてイライラするの?
トイレでも行きたいのかな?

「えっと、じゃあ今日はこれで。お先に失礼します!」

早く行かないと、少尉さんが漏らしたら困るからね。

「おう、また明日な」

御姉様が言うと、子供達がはっ!と顔をあげこちらを見て猛ダッシュしてきた。
腰を上げて中腰の状態だった私は、不安定なところにタックルされ、そのままガラスの扉へとダイブする!
ぶ、ぶつかるっ!!
…………………。
衝撃に備えて目を瞑った私は、ふわりとしたいい匂いの何かにポスンと吸い込まれた。
い、痛くないよ?
それどころか安定性抜群の何かにしっかりと抱き込まれている!