「えっと、ごめんなさい。少しぼーっとしてました」

正直に言うと、提督さんはふふっと笑って許してくれた。

「いいよ。新しい番号だが希望はあるかと思ってな」

「えっと……やっぱり、作らないとダメですよねぇ?」

提督さんは私の新しいマイクロチップを作る気満々だ。
管理されるみたいで嫌なんだけど、この世界じゃそれは義務らしくて。

「また探さないといけなくなったら困るしな。付けておけば艦内で迷子になってもすぐ探してあげられる」

迷子て……。

「それに心配だからな」

「ソデスネー……」

でもね、心配かけたのはお嬢様で私ではないんだよ!と声を大にして言いたいっ!
でも、どうやら避けられないらしい。
私は腹を括り、詳細を聞こうと改めて提督さんに向き直った。

「番号はどんなのでもいいんですか?」

「ああ。忘れないように誕生日とかにするやつもいる」

「へぇ、ちなみに提督さんは?」

「…………内緒だ」

…………内緒だ。
かーーーっ!何なのよ、可愛いっ!!
プイッと目を逸らすところなんかもう!ああ、ごちそうさまっ!

「4桁ですよねぇ……」

考えてみたけど、誕生日以外にすると確実に忘れそう。
ここは誕生日の方がいいかな。
3月4日だから……。

「ええと、じゃあ0304で」

と、提督さんに言えば彼はすごく変な顔をして私を見た。
どうしたのかな?
もしかして、その番号もう使われてる?

「……それは誕生日か?」

変な顔のまま提督さんは言う。

「そうですよ?どうかしました?この番号使えませんか??」

「いや。使えると思う、うん……」

なんか歯切れが悪いな……。
提督さんは俯いて腕を組み、何かを考え始めたのかピクリともしなくなった。
今話しかけない方がいいな。
そう判断して私は、残った夕食を急いで平らげた。