「個別認証コード??」

その日の夕食時、提督さんとの話に出たのは私の「個別認証コード」の件だった。
各戦艦島にはその船に確かに乗っているという証の個人の番号があるらしい。
日本所有の那由多にはJで始まる4桁の番号。
それを個人に割り当て、腕に極小のマイクロチップとして埋め込むそうだ。
それはGPSのような役割も兼ねているらしく、個人が今どこにいるかもブリッジで全てわかってしまう。
当然、すずなお嬢様にもあったようで、行方不明になった時、そのマイクロチップをたよりに探したらしい。
しかし、ある時点でそれがロストし、行方が追えなくなった所で私の生体反応がソナーに現れたとか。
淡々と話す提督さんの真ん前で、私は……背中に滝のような汗をかいている!
同時に頭の中では、赤いランプがクルクル回って危険を知らせていた。
だってね。
お嬢様に埋め込んだはずのマイクロチップが、私には無いんですからね!
いわゆる死刑宣告に近いこの状況で、ちゃんとご飯を食べれている私を誰か誉めて……。
だけど、提督さんはそのことには特に触れなかった。

「今度はロストしないように………」

とか、

「新しい番号をつくらないと……」

とか、

「大丈夫、チクッとするだけだから痛くないぞ」

とか…………。

微妙にその話題から遠ざかろうとしているみたい。
普通、なんでマイクロチップが無いんだ?とか聞かない?
だって腕に埋め込んだマイクロチップが無くなるなんてこと、どんな組織に拉致られたら起こりうる?
『キオクニアリマセーン』で済む問題違うよね。
まぁ、聞かれたらめちゃめちゃ困るし、答えられないからラッキーなんだけど、どうも腑に落ちないわー……。

「…………で、どうする?」

「ほぇ?」

ポカンとする私に、提督さんも同じようにポカンとした。
はっ!!
考え事に夢中で話聞いてなかったー!