「提督さん?」

顔がニヤけるのを、一生懸命押さえつつ再度問いかけてみると、さっきの続きを辿々しく言葉にし始めた。

「助かってからの君は……とても……好ましいと思う」

こっ、こっ、こっ………?
好ましいぃぃぃぃぃぃーーー!?
何ですかそれは!
え?どこに好まれる要素がありました?

「好ましい、ですか!?」

「ああ」

そして、弾ける笑顔。
もう、それは反則ですっ!
すずなお嬢様もバカだなぁー、この良さがわからないなんて!
私だったら好きになっちゃうな、たぶん。
でも悲しいかな、私はただの身代わりですから。
見てるだけで我慢しますよ?
我慢はわりと得意ですからね!

私は軽く自己完結すると、何事も無かったように提督さんと向き合う。
そうそう、ビジネスライクに行きましょう!
入れ込まず、冷静にそして冷静に、たまに萌えるけど、冷静に。

「あ、そうだ。忘れてたよ。夕食をここに運ばせようと思うんだが。君の分とオレの分」

「へ?あ、一緒に食べますか?」

「君が良ければ……だが」

何でそんなに下手に出るんだろう?
ご飯を一緒に食べるくらいで、そんなに機嫌を伺わなくてもいいのにな。
もしかして、お嬢様に断られた事があるのかなぁ。

「あははっ、全然大丈夫ですよ。誰かと一緒に食べた方が美味しいですしね!」

「そうだな……うん、オレもそう思う」

と、提督さんはほっと安心したような顔をする。
それはまた更に私を萌えさせる笑顔で、不覚にも鼓動が少し跳ね上がってしまった。