「つまり高嶺の花を誰が落とすか、というゲームのようなものだった?」

「そんな感じで捉えてもらえれば良いと思いますよ」

と、少尉さんは頷き、私を応接セットへ促した。
踞っていたフレディは胃のあたりを擦って立ち上がり、フラフラと自分の椅子に座る。
そして、落ち着く為に水を一杯飲むと、仕切り直して語り始めた。

「では、セリが男の危険性を認識したところで本題に入りましょう。ここに、冬島さんと来たということはやはり!!やはり、セリは違う世界から来た巫女で間違いないですね!?」

フレディは両手の拳をギュウッと握り締め、熱い目で私を見る。

「間違いないです」

私が答えると、フレディは間髪入れず大声で叫んだ。

「ヴンダバー!!(素晴らしい)」

ヴ、ヴンダバ??何それ??

「ああ、漸く会えましたよ!巫女の話を聞いてから早24年……会いたくて会いたくて震えていた日々。いろんな文献を集め、憧れに憧れて漸くっ………」

フレディは立ちあがり拳を握り、ぐっと言葉を溜めている。
………………。
………………。
長いな…………。
少尉さんと私が顔を見合わせて、首を傾げた途端、フレディは叫んだ。

「巫女!!ダイスキ!!」

溜めに溜めて言うことがそれぇー??
小学生か!!
お陰で首の筋を痛めかけたじゃないですかっ!!

「……巫女……相当お好きなんですねー?」

努めて冷静にフレディに尋ねる。
そう、冷静に冷静に、ね。
昂っちゃだめだ!

「好きだとも!セリは巫女が嫌だったのかい??」

「どうかなぁ……好きとか嫌いとかなかったな。ただ、仕事?使命?だったからしてただけで……」

改めて問われると答えに困る。
好き?じゃない。嫌い?でもない。
そう、わからないんだ。

答えに困った私に、フレディはその後とんでもない爆弾を投下したのだった。