《これ、見てよ》

タコは頬をぷぅと膨らませ、触手を伸ばしてこちらに見せた。
そこには何かトゲのようなものが刺さり、血が流れている。

「これが刺さったのね、で、抜けないから困っている?」

《そうなんだ……いたくていたくて……ちょっとナワバリのそとにでただけなのに!アイツ、こんどあったらシメてやる!!》

「えっと……アイツ?」

《ん?となりのヌシだよ!トゲトゲがからだにいっぱいついてるの。いやなやつなんだ》

「そうなんだ?………うん、なんとか出来るか聞いてみるからちょっと待っててくれる?」

《うん……まってる……でも、はやくしてね、いたいから》

と、小首を傾げたタコを見て、私はキューンとした。
可愛いものって、それだけで尊いよね?
デカイけど。

「というわけで……あのトゲを抜いて貰いたいそうです」

気を取り直して、2人に相談すると、すかさず提督さんが私の肩を掴みガタガタと揺すった。

「というわけで、とは!?一体、今、君は何をしていた??……オレはどんな奇跡を見てるんだ?」

や、や、や、や、やめて………。
頭が、ゆれるーー!
グイングイン揺する提督さんの手をフレディが止め、話の出来ない私の代わりに説明をしてくれた。

「鷹人。うちのオーマは知ってるね?」

「あ、ああ。異世界の巫女だろ?」

「そう。オーマの名前はキキョウ・サクラバ。そして、セリ、彼女の本名はセリ・サクラバ」

「………おい……まさか」

「セリは異世界の巫女。しかも……その力は、この世界で最も必要とされるものだ」