「ありがとうございます!」

提督さん、私何とかしてみせますよ!
こんなことしか取り柄のない私ですけど、みんなの……提督さんの役に立ちたいんです!
フレディを後ろに、提督さんを前に、私はタコが完全に姿を現すのを待つ。

《うぇーい!お待ちどうさまー!》

ザブーンと、体の大部分を出したタコは、触手を二つ上げてクルリと回し、ご機嫌で挨拶をした。

「こ、こんにちは!」

ハイテンションのタコに少し面食らいながら、こちらも挨拶を返す。
マジマジと全体を見ると、思い描いていたタコとは明らかに違う所があった。
………耳がある!?
白い頭の上の方にピョコンと飛び出た二つの耳。
その下に真ん丸で円らな瞳。
控えめに言って、このタコ、めちゃくちゃ可愛い!
デカイけど……。

《えーっと、ああ、きみ?ぼくのことばがわかるのは》

「うん、私」

と、勢い良く手を上げると続けて言った。

「何か困ってるんじゃない??」

タコは片耳をピョコンと跳ねさせ、船に近付いてきた。
それを見て、フレディと提督さんの緊張も高まる。
後ろでカチャリと銃の音がし、前で大きく手を広げる提督さん。
そんな2人を制しながら、私は提督さんの脇の下から顔を覗かせた。