だがっ!
状況は、そんなことお構い無しに急展開するものだ!

提督さんは海を背に、私の前に立っている。
その背後の海が、全ての波が一瞬で消滅したかのようにスゥーッと不気味に凪いだのだ。
音のない海は、大きな大きな水溜まりみたいになると、やがてその中央にブクッと一つ泡が吹き出る。
一つ、二つ、三つと、間髪なく吹き出る泡は水槽に入れたエアレーションのようになり数えきれない程の泡の中から、白くて丸い大きなものが姿を現した。

「来た…………」

私の声に、提督さんが振り返った。
フレディは銃で狙いをつけつつ、私の腕をとり一歩後退する。

「な…………」

提督さんは一言だけ発すると、すぐに冷静になり懐から小型の銃を取り出した。

「こんなもので凌げるとは思えないが、君を逃がすくらいの時間は稼げるはずだ」

と言い、狙いをつけ安全装置を外した。
いや、ちょっと、撃たれちゃ困るんですよ!
刺激しないでよね!

「ダメ!!撃たないで。提督さんもフレディも私より前に出ないで!!」

「セリ!でも……」

「セリ??」

……………………………。
フレディ、このバカちんがぁー!!
あっ、ていう顔しても遅いわ。
人にばらすなって言っておきながら、自分がばらしてるじゃん!
提督さんの鈍感さに多少期待したけど、この不信感丸出しの目は……もう完全にアウトの目だわ!!!