「きゃ………」

フレディは急いで私の肩を抱き、片方の壁に身を預けバランスを取る。
船の揺れはその後1分ほど続き、私達はその間寄り添って凌いだ。

「大丈夫?セリ?」

「う、うん……凄かったね……海獣の仕業かな?」

「恐らくね。でも……だとすると、非常に宜しくない」

「よ、宜しくない?」

フレディの顔は青ざめていた。
普段陽気な人がこんな顔をするのを、あまり見たくない。
だって、そういう時って必ず、どん底のように悪いことが起こると決まってるんだから。

「ステルスでやり過ごせなかった……暴れまわるタイプの海獣に出くわしたってことだ」

「闇雲に突っ込んでくる、あれ?」

「そう」

……事態は最悪の展開を迎えているらしい。

《くすん………だれもたすけてくれないの?………》

…………そうだ!
海獣も心配だけど、私にはまだやることがあるんだ!
『この子』を助けなきゃ!

「フレディ………こっちから聞こえる。助けを求めてる」

「……よし。行こう。ここまで来たらもう、神頼みしかないからね。私はセリを信じるよ」

「フレディ………」

なんだ、フレディいいやつだな?
と、思ったのも束の間。

「最後の時を、ダイスキな巫女と過ごせるのですからね。これは幸せなことです!」

最後じゃないしーー!!
縁起でもないこと言うな!