フレディはそう言うと、シェルター奥の御姉様に駆け寄り何かを言った。
その後、備え付けられた黒い金属の箱から明らかに物騒な物を取り出すと、何故かニコニコと笑いながら私の元へと帰ってきたのだ。

「フレディ……どうするのそれ?」

いや、ほんとどうすんの?その『銃』!?

「これ?んー、何かあった時のため?」

何かあったら?って……何かあるの!?
フレディは初めて本物の銃を目にし、腰を抜かしそうな私を楽しそうに見た。
それから黒く大きな銃を慣れたように肩に担ぎ、私の腕を取るとシェルターの外に出た。

「私には全然聞こえないから。セリが誘導して?その声のする方に」

「わかった」

耳を済ますと、また微かに啜り泣くような声がした。

《くすん、くすん………》

「こっち………」

フレディの服を引っ張って、学習エリアの方へ向かう。
いつも人の多い学習エリアも、今は人っ子一人通っていない。
ゴーストタウン………。
そんな言葉が頭を掠め、一瞬寒気が私を襲った。

《ふえぇぇぇん。いたいのなおんないよぉ、ママーーーー》

声が近づいた!?
そう思った時、船が大きく左右に揺れた。