「セリ、これは非常警報。海獣が近くにいるんだ」

「海獣!?それって……例の大きいやつよね?」

「うん、やり過ごせるといいけど。ステルスが効くかどうかが問題だね」

「そうね……気紛れなのもいるって言ってたし……」

私は甲板での提督さんとの話を思い出した。
闇雲に突っ込んで来る海獣もいる。
そういうのに当たれば、運が悪ければ沈没………。
その言葉が、ぐるぐると頭の中を駆け巡った。

「とにかくシェルターに移動しよう!」

「シェルター??」

フレディは私の質問には答えずに、御姉様と目配せをした。
頷いた御姉様は、5才組さんとママさん達を先導し、店の出口から足早に出ていった。
大原さんとりょうくんパパは店内の火の元を再度チェックしている。
そうだ、もし海獣の被害を免れても、二次災害なんてシャレにならない。

「大丈夫よ、退避しましょう!さぁ、すずなさん、早く!!」

「は、はいっ!!」

颯爽とした大原さんに、私は一瞬見とれてしまった。
判断力、統率力、決断力。
どれをとってもトップクラスだ。
大原さんなら御姉様とともに、学園の経営を円滑に進めていけるだろう。
いや?下手すると、御姉様より優秀かも?
と、そんなことを言ったら、どんな目に合わされるかわからないので、絶対に言わないけどね!!