「がんばったな………」

ん?提督さんの声がする?
確かさっき寝たはずだから、これは夢だね。
直ぐ横から聞こえてくる低い声を、私は夢見心地で聞いていた。

「どうして君はこんなにも一生懸命でまっすぐなんだろう」

……………………。

「そして……そんな君に……どんどんオレは惹かれていく……」

……………………。

「どうしようもなく可愛いと思ってしまうんだ……君のことが。これが、人を好きになるってことなのか?」

………………。

「そろそろ限界だ。オレは……君の……本当の君のことを知りたい」

…………………!?

「本当の名前を呼びたい。何度も何度も呼んで……声に出して叫びたい」

え………………ちょっと!?

「側にいて欲しくて、すずなのふりをさせるなんて……オレは最低な男だ!日本男子にあるまじき卑劣な行為だ!」

………………あの、もし?

「心の美しい君はそんなオレを許してくれるだろうか……いや、例え許してくれなくても……君を……もう………離せない…………」

ええーーーー!?
ちょーーっと、待てぃ!!
夢!?夢だよね!?
現実なの??どっちなの??
私は必死で目を開けようとした。
だけど、変な時間に寝ると、夢と現実の区別がつかない時がたまにある。
目を開けようとしても、全然目覚めなかったり、目が覚めたと思ったこと自体が夢だったり……。
そんな夢現の中に迷いこんで、なかなか抜け出せない。
夢か現実か確かめたいのに、頭はちっとも言うことを聞いてくれなかった。