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「おじさん、美味いよ。な、幸子?」

「うん、とっても美味しい」

 俺と幸子は、別荘の中で田原のおじさんが作ってくれたカレーを食べている。俺達が兄妹じゃない事について、一刻も早くおじさんに説明してほしい気持ちはあるが、とにかく俺も幸子も腹がペコペコに減っていたんだ。ちなみに俺は、おじさんのスウェットとトレーナーを借りて着ている。

「それは良かった。お代わりするかい?」

「あ、俺はいい。ところでさ、おじさんはたまたま通り掛かったの?」

「まさか。幸久から二人が家出したって聞いたから、私は湖の周りをずっと探してたんだよ」

「じゃあ、俺達の行動を読んでたって事?」

「確証はなかったけど、ひょっとして、と思ってさ」

「あ、お礼を言うのを忘れてた。おじさん、ありがとうございました」

 と言って俺が頭を下げると、横の幸子も「ありがとうございました」と言っておじさんに頭を下げた。

 もうひとつおじさんに聞いておきたい事があり、恥ずかしいけれども聞く事にした。

「おじさんはさ、なぜ俺達が家出したか聞いてるのかな? おやじさんは何か言ってた?」

「そ、それはまあ、聞いてるよ。君達がその……なんて言うか……」

 あちゃー。やっぱり聞いてるんだ。俺と幸子が一緒に寝てて、それを三田さんに見られた事を。

 おじさんは年甲斐もなく顔を赤くし、隣の幸子を見たら、やっぱり真っ赤な顔をしていた。