俺達は、そのまま幸子の部屋で愛し合った。幸子の部屋でするのもだし、昼間というのも初めてで、なんか新鮮な感じがした。

「こんな事してたら、バチが当たるのかな。私達……」

 快楽の後。俺の胸に頭を乗せ、幸子は呟くようにそう言った。

「かもな。でも、俺は幸子が一緒なら、地獄に落ちても構わない」

 俺は幸子の頭を撫でながら、そう返した。

「私、お兄ちゃんと一緒なら、死んでもいい」

「じゃあ、死ぬ前に、もう1回しようか?」

「え? い、いいけど?」

 なんて言っていたら、カチャッと音がして、そっちを見たら、部屋のドアがスーッと開いた。そして、掃除機を持った家政婦の三田さんが現れ、俺と幸子を見て目を丸くし、床に脱ぎ捨てられた俺の服やズボンに視線を走らせた。

 俺はまるで、ドラマか映画のワンシーンを、スローモーションで観ているような感じがした。

「失礼しました。出直します」

 そんなような事を三田さんは言い、ドアはバタンと閉じられたが、俺も幸子も驚き過ぎて声が出なかった。

 俺は完全に油断をしていた。というか、考えが足らなかった。昼間は家政婦の三田さんが、俺達を含めたみんなの部屋を掃除してくれてる事は、ちょっと考えればわかりそうな事なのに。しかも今日は、俺と幸子は塾へ行ってる事になってるから、三田さんはノックをせずに部屋のドアを開いたのだ。

 幸子が言った”罰(バチ)”が、本当に当たってしまった、と俺は思った。