「君の事は学園長から直々に言われてるんだ。面倒を見てほしいってね」

「え? そうなんですか? でも、どうして?」

「そりゃあ、君が村山家のお嬢さんだからさ。おそらくこの学校は、村山家から多額な寄付を貰ってるんだと思うよ。実はうちもだけどね」

「あ、そうなんですか……」

 神徳君の家もお金持ちなのか……

 もっとも、この学校の生徒は、程度の差はあるとしても、みんなお金持ちのお坊ちゃんやお嬢さまなんだろうけども。

 始業式の後、教室で担任の先生が来るのを待っていると、教室の前の方の戸が開き、入って来たのは、やっぱりあの先生だった。朝、お兄ちゃんと職員室に入った時、立たなかった二人の先生の内の、目が鋭いイケメンの若い先生。名前は確か……

「日本史が専門の福山哲也です。このクラスの担任になったので、これから1年間、よろしく」

 そう、福山哲也先生。始業式で教頭先生が各クラスの担任を紹介したのだけど、遠くて顔がよく見えなくて、確証は持てなかったのだけど、やっぱりあの先生だった。担任がこんな素敵な先生だなんて、すごくラッキーだなあ。