「ありがとうございます」

 俺が放り投げたにも拘らず、幸子はバカ丁寧に礼を言った。なかなかの従順ぶりじゃないか。

「おまえ、何やってんだ?」

 と惚けて聞けば、当然ながら、

「着替え中です」

 と返って来たのだが……

「な、何だよ、これは……」

 収納の中は、洋服だの靴だの鞄だのがごちゃまんと入っていた。

「父が、用意してくれたんです」

 だろうな。おやじのこいつらへの歓迎ぶりは鼻に付いていたが、ここまでするとは思ってもなく、俺は猛烈に腹が立った。

「くそっ。おやじのやつ!」

 俺は吊り下がった服を鷲掴みし、引き裂いてやろうとしたのだが、

「やめてください!」

 幸子が俺の腕にしがみ付いてきた。裸の胸を晒しながら。

「せっかく父が、用意してくれたのに……」

「父、父ってうるせえんだよ! おまえは乳を丸出しだしな」

 思わずダジャレを言ってしまったが、幸子の胸は意外にでかく、胸の谷間は見事だった。

「え? きゃっ!」

 慌てて胸に手を当てる幸子に、

「明日は始業式だけだから、教科書は持ってくなよ!」

 なんて、律儀に教えてやって、俺は幸子の部屋を後にした。

 幸子の体に触るはずだったのに、おやじのせいで調子が狂ってしまった。ま、そんな機会はこの先いくらでもあるさ。なんなら、あいつの処女を奪う事だって……