余計に腹が立ち、

「ももじ、りこです。わざと言い間違えないでください」

「たいして変わらないだろう」

「変わります。それで、呼び止めた理由は何ですか?ただ、ももじりっことからかう為に呼んだなら、セクハラで訴えますよ」

「…それは困る」

黙る向井さんが、私を呼び止めた用事がないとわかり、私は彼を置いて歩き出した。

その後をついて歩いてくる向井さん。

同じマンションに住んでいるので、ついてくるなと言えない事にムカムカしてきて、どこか寄って帰ろうと考えた私は、週末の食料でも買って帰る事にし、マンション近くの深夜まで営業しているスーパーに寄った。

だが、彼はマンションに向かわず同じスーパーにいて…なぜかカートを押す私の隣にいる。

「あの…ストーカーですか?」

「そんなわけないだろう…」

「…私、野菜コーナーから買い物するので、向井さんは、お先にどーぞ行ってください」

「俺も、野菜コーナーから買い物するつもりでいる」

はぁっ?

あーもう、無視だ無視、無視…
この人と会話にならない。

私は、明日のメニューにカレーを考え、ジャガイモ、人参、玉ねぎといれ、精肉コーナーへ。