とりあえず、話して様子を伺って切り出そう。 そう決意して、コーチの部屋の扉をコンコン、とノックする。 「雨宮です」 だが、返事はない。 「コーチ?」 ノブに手をかけると、ガチャリ、と扉が開いた。 「失礼します…」 部屋の中にコーチはいなかった。 玄関には、鍵が置いてある。 「…まさか、かけ忘れてそのまま?」 無用心すぎる。でも。 もしかして、これはチャンスなのでは?