ひーっ、凄く恥ずかしい。


「北原くんの意地悪」


「悪いけど、俺、右手がこんな状態だから、アンコの熱い要求には答えられないんだ。もう少し我慢しろよな」


「は?何わけわかんないこと言ってるの、バッカみたい」


彼にまたからかわれてしまったので、俯いてしまう。


多分また顔が赤くなっていそうだ。


「そんなことより早くお風呂入っちゃってよ、その間にいろいろやりたいことあるんだから」


恥ずかしいのを誤魔化すように、冷静を装おうとしたけど不自然に早口になる。


「やりたいことって?」


「この部屋の掃除とか」


「いいよ、そこまでしなくても。飯の準備したら今日は帰ってくれていいから。あんまり遅くなるといけないだろ」


時計を見たら6時過ぎだった。1時間以上寝ていたみたいだ。


「じゃ、風呂入ってくるから」


「待って、じゃあ、ビニールだけ右手に巻いてあげる」


さっきキッチンから持ってきていたビニールを彼の手に巻いてあげた。