「バカッ、冗談だよ」


北原くんは照れくさそうに視線を泳がせて、自分の部屋へ着替えに行った。


彼がばつが悪そうに、頬を赤らめて逃げていったような気がして、思わずガッツポーズをした。


よっしゃー。


勝った、初めて勝った。


いつもいつもからかわれて、俯いてばかりだったけど、さっきは私のほうがうわてだったもんね。


って、何をむなしい勝利をかみしめているんだか。


だんだん乙女の恥じらいがなくなってきているなぁ。


私って、大丈夫なんだろうか。


もっと、ブリっこして、「きゃっ、やだ北原君のエッチー」とかなんとか言ったほうがよかったのかな。


うーん、でもなぁ、それもなんだか媚びてるみたいでやだな。


まあいいけど。さ、お仕事しよっと。