「ドクターが、手の骨折の件で親御さんに話があるみたいなの。もしかしたら、手術の可能性もあるみたいで」


「さっき俺も聞きました。けど手術はせずにしばらく、様子を見る方向もあるみたいでしたから、とりあえずそっちのほうでお願いしました」


「そうなのね」


手術だなんて聞いて、私の心臓は飛び上がりそうになる。


自然に整復されるケースも多いので、年齢も若いということもあり、いきなり手術することは選ばなかった。


担任の先生がいたとはいえ、彼は一人でお医者さんとも話して、会計や手続きも済ませていた。


そのことが、ちょっと寂しくてなんだか心配だった。


右手が使えないのに、家で誰も助けてくれる人がいないなんて。


本当に本当に、私は不安だったんだ。


だから、彼のために何かしたいと思った。