病院で、彼が目を覚ましたのはそれから2時間後のことで、担任の先生と一緒に病院まで付き添った私は、ずっと涙が止まらなかった。
右手はやはり3本の指と手のひらの一部の骨が折れていたりヒビが入っていたりして辛そうだ。
頭を打ってしまったけれど、多分軽い脳震盪だろうということで、検査を受けて異常無しだった。
背中や腰も打撲だけで済んだ。
けれど、彼の親御さんとなかなか連絡がとれなくて、彼のお家の人がまだ誰もきてくれなかった。
「多分、父は研究室の中に入ってて、ここには来れないと思います。今夜も夜勤で帰ってこないし」
病院の待合室のソファに座る北原くんが、担任の先生に淡々と説明する。



