「北原くん、しっかりして」


彼が心配で、どうなってしまうのか怖くてたまらなかった。涙が溢れてきて全身ブルブル震えた。


「ごめん、ごめんなさい」


騒ぎを聞きつけて人が集まってくる。


「そっち、怪我は?」


苦しそうに彼が呟くから、ハッとした。


こんな時に、彼は私の心配を先にしてくれているんだろうか。


「私も猫も大丈夫だよ」


「そうか」


安心したように口元を緩ませる彼。


「右手折れたかも。すげー痛い」


地面に横になっている彼の頭を私の膝に乗せたけど、ぼんやりした瞳は焦点が合わない。


もしかしたら、頭も打ったのかもしれない。


そして、集まってきた人達にお願いして先生を呼びに行ってもらった。


その後すぐに彼は意識を失ってしまい、救急車を呼ぶ騒ぎにまでなってしまったのだった。