学校一クールなキミのお世話係になりました

もういいや、時間がもったいない、北原くんなんかに構っていられない。


木の枝を見上げたらさっきの仔猫は、鳴きすぎて声がかすれていて悲しそうな目をしている。


待ってて、今すぐ助けてあげるからね。


木に登ることを諦めた私は箒を掴んで旧校舎の入口に向かって走り出した。


「おい、どこ行くんだよ」


彼の声が後ろから聞こえたけど振り返らなかった。


古い木造の旧校舎は、あちこちがボロついていて階段を上がるだけでミシミシ音がした。


あの仔猫がいた木は、教室から近かったから、窓からなんとか助けられるかもしれない。


うん、絶対助けてみせる。


2階の1番奥から2番めの教室の窓から外を覗きこんだら、さっきの木とその下でぼんやりしている北原くんが見えた。