学校一クールなキミのお世話係になりました

北原くんは妹さんに口止めしてまで、ここにいることを隠そうとしていた。


彼が1週間、連絡を絶っていたその本当の意味は、この扉の中にある。


「うん」


ゴクリと唾を飲み込んで、思い切ってその白い扉をそっと開けた。


「し、失礼します。北原くんいますか?」


おずおずと尋ねれば驚いたような彼の声。


「え、だれ?」


次の瞬間ドアをバッと勢いよく押し開いて中に飛び込んでいた。


「っ北原くん」


「お兄ちゃん、ごめん。さっきロビーで杏さんに会ったから連れてきちゃったの。もう黙っていられなくて」


後ろからユイちゃんが謝る声がするけど、駆け出した私は彼の姿をまのあたりにした瞬間、膝から崩れるようにペタンと床に座り込んでしまった。


「そんな」


そこは、2人部屋みたいだったけど、彼1人だけしかいなかった。