教えてもらった大学病院へ向かう道すがらずっと不安だった。
もしかしたら、北原くんの身に今なにか異変が起きているんじゃないかって心配だった。
彼の身に起きているであろうことを憶測すれば、ひとつの可能性がうかぶ。だけど必死でその考えを打ち消して駅から病院までの道を早足で歩いた。
その大学病院は立派な建物で、いつも北原くんと通っていた地元の総合病院とは雰囲気も違っていて中も想像以上に広くて一瞬息を呑んだ。
どうやって、彼を探し出したらいいのか。受付で名前を言ったら教えて貰えるだろうか。
この病院に診察を受けているか入院しているか、そもそも本当に今ここにいるのかすらわからない。
受付のお姉さんに、事情を説明して聞いてみょうか。だけど、そんなプライバシーに関することを私なんかに簡単に教えてもらえるかな。
だけど、なんとなくだけどこの広い大学病院のどこかに彼はいるような気がした。
それはただのカンだったし、ハズレていた方がよっぽどいいんだけど。
よし、ここはもうあたって砕けろだよ。
なにか手がかりがつかめるかもしれないから、やっぱり受付で聞いてみょう。
自分にそっと気合いを入れて受付へと歩みを進める。
「あれ、杏さん?」



