学校一クールなキミのお世話係になりました

その人は隣のクラスの一ノ瀬くんで、彼と話をするのはあの時以来だった。


一ノ瀬くんのことを拒絶する形になってしまったあの日以来、私は彼とまともに目も合わせられなかったんだ。


「どうしたの?そんなに慌てて。大丈夫?」


「一ノ瀬くん、あの」


もう彼にいつもみたいに頼るわけにはいかないし、どう答えたらいいかわからなくて身を固くする。


「月島さん、真っ青だよ。ほんとにどうしたの?」


「大丈夫だから」


「そんな顔してて大丈夫なわけないよ、俺とのことは気にしなくていいから、だから話してみて」


「一ノ瀬くん」


「友達だろ?」


彼はいつも通りの穏やかな笑顔をみせてくれたから、身構えていた自分が恥ずかしくなる。


「う、うん」


彼が友達だって言ってくれて、少し気持ちが軽くなって緊張がやわらいだ。


ほんとうは、いま胸の中にある不安を誰かに聞いて欲しくてたまらなかったから涙がでるほど嬉しい。