「きゃーいいの?私がやってあげる」


「私も、私も」


安藤さんはニコニコしながら彼の髪に触るけど、彼はもう話したくもないみたいで憮然としている。


以前なら、絶対に断り通していた彼だけど最近はなんだか違う。


なんだろう、少し元気がないような投げやりな感じがする。


女の子に触れられるのを極端に嫌がっていたけれど、それももうどうでもよさそうだ。


だけど、そんなところを隣の席からこっそり見ていたら、胸がズキズキするような嫌な気持ちで一杯になってしまう。


いいな、安藤さん。


なんだかんだで私の役割をすっかり彼女にとられてしまったような気がして、せつなかった。


北原くんもどうして、もっと強く断らないんだろう。


彼女がいるんだしその子に、悪いと思わないんだろうか。