目の前5センチあたりを旋回する蜂と目が合ったような気がして、パニックになった。


私は子供の頃から虫が大嫌いなのに、なぜかよく虫によってこられちゃう。


好かれたくは決してないんだけど。


「いやー」


怖くて気持ち悪くて箒を持ったまま夢中で走ったら、勢いよくドスンと誰かにぶつかって、2人でつんのめって倒れた。


「いってーな。何すんだよ」


目を開けたら、私が北原くんの背中に覆いかぶさるようにして、2人で倒れこんでしまっていた。


「どけよ、おまえ。触るな」


不機嫌そうな表情で彼に睨まれてしまう。


「北原くんご、ごめんなさい」


起き上がろうとしたら、早くしろと言わんばかりに、軽く押されて尻餅をついた。


ひ、ひどい。わざとじゃないのに。