祈るような気持ちでそれを確かめたくて、呼び出し音を聞いていた。


すると、数十回めのコール音でようやく彼が電話に出てくれた。


「はい」


少し低くてくぐもった北原君の声がした。だけどいつもよりもなんだか元気がない気がする。


「もしもし、北原君いまどこ?どこにいるの?」


もどかしい気持ちで早口で、問いかけていた。


「どこって、部屋にいるけど?」


「帰ってるの?じゃどうして電気もついていないの?」


「え?ああ、電気ならついてるよ」


その時、急に彼の部屋に明かりがともった。


私に指摘されたからあわてて電気をつけたのだろう。


「今、一人なの?」


「まあ・・・うん」


「・・・」


かける言葉がでてこなくて、少しの沈黙が続いた。