もしも、電気もつけない暗い部屋で彼が1人きりでいたらと思うと心配になってしまう。


誕生日に一人きり、しかも利き手をケガをしているから、何をするにも不自由していたら?


何もする気になれなくて暗い部屋で一人寂しくぼんやりしていたら?


どうしよう、そんなの嫌だよ。


そう思ったらいてもたってもいられなくて、スマホをタップしていた。


急いで彼に電話をかけてみるけれど、呼び出し音がいつまでも聞こえてくるだけだ。


違っていたらそれでいい。


もしかしたら、例のユイちゃんていう名前の女の子と会っているのかもという考えが、一瞬頭をよぎったけど、それならそれでいいと思った。


彼があの暗闇の中で、一人きりでいるよりもずっといいと思った。


どうか彼が今、一人じゃありませんように。