消えてしまう君に捧げる



父さんが死んでから、僕は滅多に笑わなくなった。


母さんもそうだ。最近は前にも増して無表情でいることが多い。


もちろん、感情が無いわけじゃない。楽しい時は楽しいし、悲しい時は悲しい。


だけどそれが表情に出ないことが問題だった。


でもここ最近、小春といるようになってから、自分でも驚くほど笑えている。


「あ、見えた!ほら、見えたよ智弘くん!」


「…うん、そうだね」


幸せだ、今がとても幸せだと、そう思う。


近いうちに隣ではしゃぐ彼女が消えてしまうなんて、全然想像出来ない。


彼女が消えてしまったら、僕はどうするんだろう。


悲しみに耐えきれず自殺をする?それとも意外とあっさり彼女の死を受け入れてしまうんだろうか。


きっと小春はどちらも望まない。


そういえば、小説はどうなってるのかな。


結末は、一体どんな終わり方なんだろう。


ハッピーエンドならいいな、と思う。