するとまた俺のことを忘れていた。
医者には「前向性健忘症だ」って言われた。
事故にあってから何かがおかしくなったんだって。
俺はまた2度目の涙を流した。
高校の友達は「もう諦めなよ」と言った。
君の両親は「悪いことは言わない。別れた方がいいよ」と言った。
でも
俺には君が全てで。
離れることなんて想像出来なかった。
それから月日は流れて
君が俺を忘れた回数なんて分からなくなった。
抱いたら君は俺を忘れる。
そんなことは分かっていたけど
もしかしたらって
今度こそはって
そう思ってしまう自分がいた。
相変わらず俺を忘れた君は
俺に申し訳なさそうな顔で「ごめんなさい」と謝る。
そのうち毎日涙を流すようになった。
こんなに涙を流すことはなかったのに。
君のこととなると何故か溢れ出てくる。
酷い時は泣きながら過呼吸を起こした。
そういう時は絶対に君にバレないように
布団にくるまって声を殺して泣いた。
いつしかそんなことが当たり前になった日。
君が自殺した。
飛び降り自殺だった。
カバンの中の日記には君の気持ちが綴られていた。

