昼休み。


彼氏の元へと向かった愛依を見送って、私も教室を出た。




前は教室で食べていたんだけど、居心地が悪くて教室を飛び出した。やっぱり、一人で食べている人って浮いちゃうんだよね。




誰もいないことを確認して、使われなくなった校舎の中へと入る。







一週間前。



どこで食べようか迷っている時、この廃校舎の空き教室を見つけた。
埃っぽくてとてもお弁当を食べられるような環境ではないけど、誰も来ないしこの場所は私だけの秘密基地。



使われなくなったっていうのも理由のひとつだろうけど、人が来ない大きな理由はもうひとつ。


十年以上前からずっとある噂で幽霊が出るらしい。
誰か見たわけじゃないけど、取り壊そうとしたら不可解な事故が相次いだから生徒達の間でそんな噂が流れ始めたんだとか。




私も、最初は怖かったけど霊的現象とか全然起きないからやっぱり噂は噂なんだなと今では安心してここに来るようになった。




「あ、今日はミートボールだ」




いつものように、教室の真ん中にポツンと置かれている椅子に座って一緒に置かれている机の上でお弁当を広げた。




今日は私の大好きなミートボール。
口に入れた瞬間、肉汁が口いっぱいに広がる。
うん、このために生きているって感じだよ。



今日もお母さんにありがとうって言わないと。