「京ちゃん、ご飯食べにいかない?」


思い切って誘ってみた。だってこのまま黙ってるなんてできない!


「ええよ。」あっさりOKだった。


「なに食べたい?」


車に乗るのも久し振りだった。


「最初に連れてってくれたお店がいい。」


車中はずっと無言。
お店は個室だから話を聞かれることもない。
あたしから話を切りだした。


「言葉が整理できないんだけど、あなたの気持ちが知りたいの。」


「はーっ、それはこっちのセリフや。」


「えっ?」


「確かに撮影終わってから話そうって言うたけど、聞くんが怖かったんたや。でも、気になって気になって。最近、なんか思い詰めてるし、フラレるんやろかとか、めっちゃ考えてんで。」


「???」


予想に反して堰を切ったように話し続ける彼にあたしは唖然としてしまった。


「それに、最初に言うたんはこっちや!気持ちなんて変わらないんやから、聞かなくたってわかるやろ?」


「わかんない。」


「はっ?」


「わかんないよぉ。」


思わず涙が出てきた。彼言葉を聞いて安心したから。


「えっ?なんか気に障るようなこと、言うたか?ごめん。泣くな。」


彼はすごくオドオド。


「あたしのことどう思ってるか言って。」


「好きや。大事にしたいと思ってる。せやから、泣かんでくれ。」


「良かったぁ」


嫌われてなくて幻滅されてなくて本当に良かった。彼は優しく抱き寄せて、頭を撫でてくれた。


「あたしも好き」


初めて両思いのキスをした。

やっと気持ちが通じたあたしたちは、もう一度カラダを重ねた。お互いの気持ちを確かめ合うように…。