予鈴が鳴り、私も胡桃もきちんと椅子に座りなおして前を向く。


一瞬、チラッと斜め後ろを気にしてしまったのは不可抗力。


窓際の後ろの席。

外の景色を見ながらのんきにあくびをしている颯太のことを、一瞬だけ視界に入れた。


私のこと嫌いなくせに。煩わしいくせに。

関わりたくないから助けたのを内緒にしてほしかったんだろうに、昨日も今朝も待ってたら意味ないじゃんか。


そんな颯太の昨日からの矛盾したよくわからない行動に、私の脳内はいろんなことを考えてしまって忙しかった。


ほんっと、わからない。

わからないけど……嬉しいとも思ってしまう。


期待したらダメなのはわかってる。


ただの気まぐれ。同情からくる親切心。

明日にでもなれば、いつもの憎まれ口しか言わない仲の悪い幼馴染の関係に戻るってわかってる。


でも、やっぱり。

いくら嫌われていても、私のことを心配してくれたであろう颯太の気持ちに、どうしようもない私の心は浮かれているのを隠し切れなかった。